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【中小企業向け】ノーコードBIツールの選び方と活用事例:Excelからの次の一歩

Tags: ノーコードBI, BIツール, 中小企業, データ活用, 選び方, 活用事例, Excel

意思決定支援ツール活用ナビをご覧いただき、誠にありがとうございます。経営企画部門の皆様は、データに基づいた意思決定の重要性を日々感じていらっしゃることと思います。特に中小企業では、専門のデータ分析担当者を置くことが難しい場合も多く、Excelでの集計・分析からさらに一歩進んだデータ活用に課題を感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そのような状況で注目されているのが、「ノーコードBIツール」です。本記事では、中小企業の経営企画担当者様が、ノーコードBIツールを理解し、自社に合ったツールを選び、データ活用を進めるための一歩を踏み出すための情報を提供いたします。

ノーコードBIツールとは何か

BI(ビジネスインテリジェンス)ツールは、企業内に蓄積された様々なデータを収集、分析し、ビジネスの意思決定に役立つ形で可視化するツールです。グラフやダッシュボードを作成することで、複雑なデータを直感的に理解できるようになります。

そして、「ノーコードBIツール」とは、プログラミングの知識がなくても、マウス操作やドラッグ&ドロップといった直感的な操作だけでデータ分析やレポート作成ができるBIツールの一種です。従来のBIツールの中には、設定やカスタマイズに専門的な知識が必要なものもありましたが、ノーコードBIツールはそうした技術的なハードルを大幅に下げています。

Excelでのデータ集計や簡単なグラフ作成の経験があれば、比較的容易に操作を習得できるのが特徴です。これは、専門のIT人材が限られる中小企業にとって大きなメリットとなります。

中小企業がノーコードBIツールを導入するメリット

中小企業がノーコードBIツールを導入することには、特に以下のようなメリットが考えられます。

1. 導入・運用コストの削減

専門知識を持つ人材を雇用したり、外部のコンサルタントに依頼したりする場合と比較して、内製化しやすいノーコードBIツールは人件費の削減につながります。また、多くのノーコードBIツールはクラウド型で提供されており、初期投資を抑え、利用規模に応じた月額課金制を採用していることが多いため、コストをコントロールしやすくなります。

2. データ活用のスピードアップ

直感的な操作で分析やレポート作成ができるため、経営層や現場が必要とする情報を迅速に可視化し、提供することが可能です。これにより、変化の速いビジネス環境において、よりスピーディーな意思決定が可能になります。Excelでの手作業による集計・更新作業と比較して、圧倒的に時間を短縮できます。

3. 現場部門でのデータ活用促進

IT部門や特定の担当者に依存せず、営業、マーケティング、製造など各部門の担当者自身がデータを分析・活用しやすくなります。これにより、部門ごとの課題発見や改善活動がデータに基づいて行われるようになり、全社的なデータ活用文化の醸成につながります。

4. Excelからのスムーズなステップアップ

多くのノーコードBIツールは、Excelファイルからのデータ取り込みに対応しています。日頃使い慣れているExcelで管理しているデータをそのまま活用開始できるため、既存のデータ資産を無駄にすることなく、より高度な分析・可視化へステップアップできます。

中小企業のためのノーコードBIツール選び方

数多くのノーコードBIツールが存在する中で、自社に最適なツールを選ぶためには、いくつかの視点を持つことが重要です。特に中小企業向けの選び方として、以下のポイントを検討することをおすすめします。

1. 費用対効果と価格体系

まずは予算を明確にし、それに合う価格帯のツールを候補とします。月額費用だけでなく、ユーザー数制限、利用できるデータ容量、機能制限などを確認し、自社の規模や利用計画に合った価格体系であるかを確認してください。無料トライアルがあるツールで実際に試してみるのが最も確実です。

2. 操作性と習得のしやすさ

経営企画部門や現場の担当者が、特別な研修を受けなくても直感的に操作できるかどうかが非常に重要です。無料トライアル期間などを活用し、実際にデータを取り込み、簡単なレポートやダッシュボードを作成できるか試してみてください。チュートリアルやサポートドキュメントの充実度も確認しましょう。

3. 連携できるデータソースの種類

現在、そして将来的に利用を検討しているデータが、そのツールに取り込めるかを確認します。Excelファイルはもちろんのこと、基幹システム、会計システム、SFA/CRM、Webサイトのアクセスログなど、様々なデータソースとの連携機能が必要です。API連携や主要なデータベースへの接続可否なども確認ポイントです。

4. 必要な分析・可視化機能

どのようなデータを分析し、どのような情報を可視化したいのか、具体的な目的を整理します。基本的な集計、グラフ作成機能に加え、クロス集計、フィルタリング、ドリルダウンといった分析機能、目的に合ったダッシュボードを作成できる柔軟性があるかを確認します。高度な統計分析や機械学習が必要な場合は、別のツールを検討するか、それらの機能を持つ上位エディションが必要になる場合もあります。

5. サポート体制

ツール導入後、不明点や問題が発生した場合に頼れるサポート体制があるかを確認します。電話、メール、チャットによるサポート、日本語での対応可否、FAQやコミュニティの充実度なども重要な判断材料となります。

ノーコードBIツールの簡単な活用事例

ノーコードBIツールを使って、中小企業でもすぐに取り組めるデータ活用の例をご紹介します。

これらの事例は、Excelでも不可能ではありませんが、ノーコードBIツールを使えば、データの更新や分析軸の変更が容易になり、リアルタイムに近い情報をいつでも確認できるようになります。

Excelからのステップアップを考える

現在Excelを中心にデータ集計・分析を行っている企業にとって、ノーコードBIツールの導入は「Excelからの卒業」ではなく、「Excelの限界を補い、データ活用の幅を広げるステップアップ」と捉えるのが現実的です。

Excelは手軽さや柔軟性において優れたツールですが、データ量が増えると処理が重くなる、リアルタイム性に欠ける、複数人での共同作業が難しい、分析の自動化が難しいといった限界があります。ノーコードBIツールは、これらのExcelの弱点を補い、より大規模なデータ、より多角的な分析、より頻繁な更新が必要な場合に真価を発揮します。

まずは、Excelでの作業負荷が大きいレポート作成や、複数のExcelファイルを統合して分析したいといった具体的な課題から、ノーコードBIツールの活用を検討してみてはいかがでしょうか。

導入プロジェクトを始める前に

ノーコードBIツール導入を検討する際は、まずは小さな範囲から始めることをおすすめします。特定の部門や特定のレポート作成に限定して導入し、操作性や効果を検証します。

また、「何のためにツールを導入するのか」という目的を明確にすることが非常に重要です。「BIツール導入前に絶対決めるべき「目的」の重要性」の記事も参考に、具体的な目標を設定してください。目的が明確であれば、選ぶべきツールの機能要件や、導入後の効果測定もしやすくなります。

まとめ

本記事では、中小企業がデータ活用を進める上で有力な選択肢となるノーコードBIツールについて、その概要、メリット、選び方、活用事例をご紹介しました。プログラミング知識がなくても直感的に操作できるノーコードBIツールは、専門人材が限られる中小企業にとって、データ活用のハードルを下げる鍵となります。

自社の課題や目的に照らし合わせながら、複数のツールの無料トライアルなどを活用して、最適なノーコードBIツールを見つけてください。そして、Excelで培ったデータ集計・分析のスキルを活かしながら、ノーコードBIツールを次のステップとして活用し、データに基づいた迅速で質の高い意思決定を実現されることを願っております。

データ活用は一日にして成らず、地道な取り組みが重要です。この記事が、皆様のデータ活用推進の一助となれば幸いです。