【経営企画向け】BIツールの機能比較ガイド:選び方の基準を解説
はじめに
経営企画部門の皆様にとって、データに基づいた意思決定の重要性は日々高まっているかと存じます。しかし、いざBIツール(ビジネスインテリジェンスツール)の導入を検討しようとすると、様々なツールが存在し、それぞれの機能が多岐にわたるため、「どれを選べば良いのか分からない」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。
特に、BIツールの使用経験が少ない場合、製品カタログやWebサイトに並ぶ機能リストを見ても、自社にとって本当に必要な機能は何なのか、比較検討する際の基準が分からないという声もよく耳にします。
この記事では、BIツールの主要な機能とその比較ポイントを、経営企画担当者の視点から分かりやすく解説いたします。この記事をお読みいただくことで、自社に最適なBIツールを選定するための具体的な基準をご理解いただけるかと存じます。
BIツールの主要機能カテゴリーと比較ポイント
BIツールには、データ活用を支援するための様々な機能が搭載されています。ここでは、特に経営企画部門の皆様がツール選定時に注目すべき主要な機能カテゴリーと、それぞれの比較ポイントを解説します。
1. データ接続・取り込み機能
BIツールが分析に利用できるデータソースの種類と、そこからデータをツール内に取り込む(接続する)機能です。
- 比較ポイント:
- 接続可能なデータソース: Excelファイル、CSVファイル、様々な種類のデータベース(SQL Server, Oracle, MySQLなど)、クラウドストレージ(Box, Dropboxなど)、各種業務システム(販売管理、顧客管理など)のデータベース、Webサービス(Google Analytics, Salesforceなど)など、自社が現在利用している、または今後利用したいと考えているデータソースに接続できるかを確認します。特にExcelデータを多くお持ちの場合は、Excelとの連携がスムーズかどうかも重要です。
- 接続方法: データを取り込む方式(インポート、ライブ接続など)の違いや、コネクタの種類、設定の容易さを比較します。
- データ更新頻度: データの自動更新機能の有無や、設定可能な更新頻度も確認が必要です。リアルタイムに近いデータが必要な業務がある場合は、ライブ接続や高頻度での自動更新に対応しているかが選定基準となります。
2. データ加工・準備(ETL/ELT)機能
接続した生データを分析しやすい形に整える機能です。複数のデータを結合したり、不要な列を削除したり、データの形式を変換したりといった作業を行います。これらの機能はETL(Extract, Transform, Load)やELT(Extract, Load, Transform)と呼ばれることもあります。
- 比較ポイント:
- 加工の容易さ: コーディング知識がなくても直感的な操作(ドラッグ&ドロップなど)でデータ加工ができるかを確認します。データの前処理はBI活用の最初のハードルとなることが多いため、初心者でも扱いやすいツールを選ぶことが重要です。
- 加工機能の豊富さ: データの結合、集計、フィルタリング、計算列の作成など、必要なデータ加工機能が揃っているかを確認します。
- 処理速度: 大量のデータを扱う場合に、データ加工処理がどの程度速いか、処理中にツールが安定しているかなども評価ポイントになります。
3. データ可視化・分析機能
加工・準備したデータをグラフや表にして見やすく表示したり、傾向や特徴を分析したりする機能です。
- 比較ポイント:
- グラフ・チャートの種類: 棒グラフ、折れ線グラフ、円グラフといった基本的なものから、散布図、ヒートマップ、ツリーマップなど、多様な分析に対応できるグラフが用意されているかを確認します。
- ダッシュボード作成機能: 複数のグラフや表を組み合わせて、状況を一覧できるダッシュボードを容易に作成できるかを確認します。テンプレートの有無や、レイアウトの自由度も重要です。
- 操作性: グラフの作成や設定変更が直感的で、マウス操作などで簡単にできるかを確認します。
- ドリルダウン・ドリルスルー: 集計されたデータの詳細を見たい場合に、簡単に深掘りできる機能があるかを確認します。
- 高度な分析機能: 必要に応じて、予測分析や異常検知などの高度な分析機能が搭載されているかどうかも検討します。ただし、これらの機能は専門知識が必要な場合もあるため、自社の活用レベルに合わせて必要性を判断します。
4. レポート作成・共有機能
作成したグラフやダッシュボードを、関係者と共有するための機能です。
- 比較ポイント:
- 共有方法: Webブラウザからのアクセス、PDFやExcelなどへのエクスポート、定時レポートの自動送信など、多様な共有方法に対応しているかを確認します。
- アクセス権限管理: 誰がどのレポートを閲覧・編集できるかといったアクセス権限を細かく設定できるかを確認します。部署や役職によって見せる情報を制御したい場合に重要です。
- モバイル対応: スマートフォンやタブレットからレポートを閲覧できるかどうかも、外出先での情報確認が多い場合に役立ちます。
5. セキュリティ・管理機能
データを安全に管理し、ツールを安定的に運用するための機能です。
- 比較ポイント:
- ユーザー認証・認可: ログイン時のセキュリティ(二段階認証など)や、各ユーザーに与える権限を細かく設定できるかを確認します。
- データセキュリティ: データ転送時の暗号化など、保存されているデータややり取りされるデータのセキュリティレベルを確認します。
- ログ管理: 誰がいつどのような操作を行ったかのログを確認できるかを確認します。
- 運用管理: ユーザー追加・削除、システム設定変更などの管理作業が容易にできるかを確認します。
自社に合ったツールを選ぶための基準
これらの機能比較ポイントを踏まえつつ、自社に最適なBIツールを選定するためには、以下の基準も考慮する必要があります。
1. 予算
BIツールの費用は、初期費用、月額または年額のライセンス費用、導入支援費用、運用保守費用など、様々な要素で構成されます。ライセンス費用は、ユーザー数や利用できる機能によって変動することが一般的です。
- 比較ポイント: 自社の予算規模に合った価格帯のツールかを確認します。トライアル版や無料版で機能を試せるツールから始めるのも良い方法です。隠れたコストがないかも確認が必要です。
2. 導入・運用体制
BIツールは導入すればすぐに活用できるわけではありません。データの準備、ツールへの取り込み、レポート作成、利用者への説明など、導入・運用には少なからず工数がかかります。
- 比較ポイント:
- 導入の容易さ: クラウド型かオンプレミス型か、専門的な技術知識がどの程度必要かなどを確認します。初心者の場合は、導入ハードルが低いクラウド型が選択肢となることが多いでしょう。
- サポート体制: 導入時のサポートや、導入後の問い合わせに対応してくれるベンダーのサポート体制が充実しているかを確認します。日本語でのサポートがあるか、対応時間、サポート方法(電話、メール、チャットなど)も重要な比較ポイントです。
- トレーニング: 初心者向けのトレーニングや研修プログラムが提供されているかを確認します。社内でツールを使いこなせる人材を育成するために役立ちます。
- コミュニティ: ユーザーコミュニティが活発であれば、困ったときに情報交換をしたり、活用方法を学んだりすることができます。
3. 自社のIT環境と既存システム
現在利用しているITインフラやシステムとの互換性も考慮が必要です。
- 比較ポイント:
- システム連携: 基幹システムや他の業務システムとデータを連携させる必要があるか、その連携は容易かを確認します。
- クラウド vs オンプレミス: セキュリティポリシーや運用方針に基づき、クラウド型かオンプレミス型かを選択します。
まとめ:機能比較で見極めるBIツールの真価
BIツールの機能は多岐にわたりますが、全ての機能が自社に必要とは限りません。重要なのは、自社の「誰が」「どのようなデータを使い」「どのような目的で」「どのように活用したいのか」を明確にし、その目的に合った機能が十分に搭載されているかを見極めることです。
今回ご紹介した機能カテゴリーや比較ポイントを参考に、複数のツールを比較検討してみてください。多くのツールでは無料トライアルを提供していますので、実際にデータを触ってみて、操作性や必要な機能が備わっているかを確認することをお勧めいたします。
ツール選定は、データに基づいた意思決定を推進するための第一歩です。この記事が、皆様のBIツール選定の一助となれば幸いです。